
「生理の量が多くて貧血気味…」「生理が1週間過ぎても止まらない」「お腹に圧迫感がある」などと感じることはありませんか。
そのような症状は、実は子宮筋腫のサインかもしれません。
また、子宮筋腫の約半数は無症状であり、診察や検診で偶然見つかる方もいます。
子宮筋腫は30歳以上の女性の20〜30%にみられ、婦人科で最も多い腫瘍です。
この記事では、子宮筋腫の症状や治療方法などについて解説します。
子宮筋腫とは?
子宮筋腫は、子宮の筋肉にできる良性の腫瘍です。悪性の腫瘍である「がん」ではありません。
子宮筋腫は、できた場所によって3つに分類されます。

子宮筋腫の症状
子宮筋腫の主な症状は以下の通りです。症状のあらわれ方には個人差があります。

症状が全くない場合も多く、健康診断や検診で偶然見つかるケースもあります。そのような場合も、婦人科を受診して専門の先生に相談しましょう。
子宮筋腫の検査
最初に行われるのが、内診と超音波検査(エコー)です。
子宮の大きさや筋腫の数・位置・形状を確認します。外来において、短時間で実施できる基本的な検査です。子宮筋腫のサイズが大きかったり、手術を考えたりする場合、MRI検査を行うことがあります。また、子宮にある腫瘍が、良性の子宮筋腫か悪性の子宮肉腫かの判断が難しい場合もあり、MRI検査による精密な画像評価が有効な場合もあります。
粘膜下筋腫を疑う場合は、子宮の内側を直接観察する子宮鏡検査を行うこともあります。
子宮筋腫の主な治療方法
子宮筋腫のサイズが大きくなったり、症状が出たり、悪性腫瘍であることも否定はできないので、子宮筋腫のサイズが小さく、無症状な場合でも、3〜12か月ごとの定期的な経過観察をする必要があります。
子宮筋腫の治療は、筋腫の大きさ・数・発生部位、症状の程度、年齢、妊娠の希望の有無などを総合的に考慮して決定されます。
治療が必要な状態としては、以下の場合が挙げられます。
- 症状が強い
- 妊娠希望があり、不妊症や不育症の原因と考えられる
- 妊娠中や出産時に障害となるリスクがある
- 悪性との区別が難しい
など
全ての患 者に同じ治療が行われるわけではなく、一人ひとりのライフプランに合わせて担当の医師と治療方針を検討することが大切です。
薬物療法
薬を使った治療は、過多月経や腹部圧迫感などの子宮筋腫による症状を軽減したり、手術前に子宮筋腫を小さくしたりすることを目的としています。
子宮筋腫を根本的に治す治療ではありません。
よく使われるGnRHアゴニスト(注射剤)やGnRHアンタゴニスト(内服薬)は、子宮筋腫を発育させる女性ホルモン(エストロゲン)の分泌を抑えるので、子宮筋腫のサイズを小さくしたり、月経の量を抑えて貧血を改善したりすることにも効果があります。
ただし、女性ホルモンの量が低下することによる更年期症状(のぼせ・骨密度低下など)や骨粗鬆症のリスクがあるため、薬の使用は6か月以内までとされています。使用期間や方法は医師と相談しながら慎重に決定します。
また、薬で一時的に筋腫が小さくなっても、中止すると再び大きくなる場合があり、根本的な治療としては手術が選択されます。
手術療法
手術療法は、薬物療法で十分な改善が得られない場合や、筋腫が大きく日常生活に支障をきたす場合、不妊や流産の原因と判断される場合などで選ばれます。
主な方法には、子宮を残して筋腫のみを取り除く「子宮筋腫核出術」と、子宮を全て取り除く「子宮全摘術」があります。
子宮筋腫核出術は、妊娠を希望する方に適した方法で、子宮筋腫のみを取り除くことで子宮の機能を保ちます。ただし、子宮筋腫を取り除いても、再発することがあります。
一方、子宮 全摘術は、出産の予定がなく再発を防ぎたい場合に選択されることが多いです。
手術の方法は、開腹手術・腹腔鏡下手術・子宮鏡下手術などから、筋腫の位置や大きさに応じて決定されます。
どの治療を選ぶかは、症状の程度・年齢・妊娠の希望の有無・再発リスクなどを踏まえ、医師と相談して決定することが大切です。
最後に
子宮筋腫は、多くの女性にみられる身近な病気です。
ほとんどは命に関わるものではありませんが、放置すると月経量の増加、貧血、不妊や妊娠経過に影響を及ぼすことがあります。
早期に発見し、適切に対応することで、将来の妊娠や健康を守ることが可能です。
気になる症状があれば、一人で悩まずに、まずは婦人科の専門医に相談してみましょう。
「婦人科へ行くのはハードルがある」、「自分は病院に行った方がよいか迷う」方などは、自治体の相談窓口を利用することもできます。
保健師や助産師などの専門職が、心身の状態や健康面の不安について相談を受け付けています。お近くの相談窓口にご相談ください。
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