流産・死産について知ってほしい心のケアと支援制度

流産・死産について知ってほしい心のケアと支援制度のサムネイル画像

流産や死産など、赤ちゃんとの死別は精神的にとてもつらい体験です。ご自身で流産・死産などを経験された方や、周囲にそのような経験をされた方がいらっしゃる場合もあるかと思います。

流産や死産は決して珍しいことではありません。

妊娠経験がある方も、ない方も、ご自身や周囲の方のために、精神的なサポート体制や、国・自治体による支援制度について理解しておくことが重要です。

  • #ライフプラン

流産・死産について

流産は、妊娠したにもかかわらず、妊娠22週より前に妊娠が終了してしまう状態です。自然流産は全妊娠の7~15%に見られると言われています。流産率は年齢とともに上昇し、40歳を過ぎると妊娠しても40%以上が流産すると言われています。

自然流産の原因として最も多いのが、赤ちゃんの染色体異常です。赤ちゃんの染色体異常は、ほとんどが偶然のできごとです。「また流産を繰り返すかもしれない」と過度に心配する必要はありません。

一方で、何度も流産や死産を繰り返す状態を「不育症」と言います。お母さん側に妊娠を続けるのが難しい何らかの病気が潜んでいることもあるので、その場合は医師に相談しましょう。

流産・死産による精神的な負担

過去3年以内に流産・死産を経験した方を対象に、令和6年度に実施した調査では、「流産・死産のつらさが日常生活に支障をきたしたことがある」と回答した人が53.3%にのぼりました。

また、流産・死産を経験した方の中には、1年以上経過した時期においても、身体面や精神面での支援を求めている方もいました。

一方で、つらさを感じながらも「誰にも相談していない」人が13.8%存在し、その理由として「誰に相談すればよいかわからない」「身近に相談先がなかった」といった理由を挙げている方もいました。

流産・死産は、当事者に大きな精神的負担をもたらす一方で、相談ができず、つらい思いを抱えたまま孤立してしまうケースもあることがうかがえます。

流産・死産を経験された方への支援

流産・死産を経験された方への支援

流産や死産を経験した後は、悲しみや喪失感を受け止めるまでに時間がかかったり、心身の不調が日常生活に影響したりすることがあります。

ここからは、そんなときに利用できる主な支援について紹介します。

社会保険関係の制度

妊娠満12週(85日)以降の流産・死産の場合には以下の制度の対象となります。

出産育児一時金の支給

健康保険や国民健康保険に加入している方が出産したときに、出産育児一時金※が支給されます。

令和5年4月1日以降の支給額は50万円(産科医療補償制度の対象出産ではない場合は48万8千円)です。

出産手当金の支給

健康保険の被保険者が出産のため会社を休み、その間に給与の支払いを受けなかった場合は、出産の日以前42日から出産の翌日以後56日目までの範囲内で、会社を休んだ期間を対象として出産手当金※が支給されます。

原則として、賃金の3分の2に相当する額が支給されます。

産前産後休業期間中の社会保険料(健康保険(2号被保険者の介護保険料含む)・厚生年金保険)の免除制度

事業主が保険者に申し出ることにより、産前産後休業期間中の社会保険料の本人負担分及び事業主負担分が共に免除され、免除期間に係る厚生年金の給付は休業前の給与水準に応じた給付が保障されます。

産前産後期間中の国民年金保険料・国民健康保険料の免除制度

届出により、出産予定日または出産日が属する月の前月から4か月間(以下「産前産後期間」といいます)の国民年金保険料が免除されます。多胎妊娠の場合は、出産予定日または出産日が属する月の3か月前から6か月間の国民年金保険料が免除されます。

なお、産前産後期間は付加保険料の納付もできます。

産前産後期間の免除制度は、「保険料が免除された期間」も保険料を納付したものとして老齢基礎年金の受給額に反映されます。

届出を行う期間について、すでに国民年金保険料免除・納付猶予、学生納付特例が承認されている場合でも、届出が可能です。

また、国民健康保険についても、産前産後期間の保険料(均等割額・所得割額)が免除されます。多胎妊娠の場合は、出産予定日または出産日が属する月の3か月前から6か月間の国民年金保険料が免除されます(令和6年1月施行)。

働く女性が利用できる制度

流産・死産後は、産後休業や母性健康管理措置を利用できる場合があります。ご自身の体調面やメンタル面の回復のためにも、適切に制度を利用しましょう。

産後休業

対象者:妊娠4か月以降に流産・死産した女性労働者。

内容:事業主は、原則8週間、当該労働者を就業させてはなりません。(本人が請求し、医師が支障がないと認めた業務に就く場合には6週間でも可)

母性健康管理措置

対象者:流産・死産後1年以内の女性労働者。(妊娠の週数は問わない)

内容:医師等から出血や下腹部痛等への対応として一定期間の休業の指導が出されることがあります。事業主は、健康診査を受けるための時間の確保や、医師等からの指導事項を守ることができるようにしなければなりません。

その他

都道府県の相談窓口

お住まいの自治体では、流産・死産に関する相談を受け付けています。心のケアや日常生活の不安、利用できる支援制度について相談できるため、一人で抱え込まずに、ぜひ活用しましょう。

各都道府県の相談窓口一覧はこちらから確認できます。

妊婦のための支援給付

妊婦のための支援給付は、妊娠された方(日本国内に住所を有する者)が対象です。妊娠が確認されていれば※、流産・死産などをされた方も対象になります。まず妊娠届出時の申請により5万円が支給され、妊娠していたこどもの人数の届出を行った後に、こどもの数×5万円が支給されます。また、給付と組み合わせて相談支援を実施しています。給付のご案内はもちろん悩みや不安などもお話しいただけます。一人で抱え込まず、自分の気持ちを相談してみましょう。

「医療機関により胎児心拍」が確認できたことをもって妊婦給付認定にかかる「妊娠」と定義しています。

最後に

流産や死産は、誰にとっても身近に起こり得るものです。

当事者とそのパートナーや家族も、大きな心の負担を抱えることがあります。つらい気持ちを相談したり、受けたりすることで自分の気持ちを整理できることもあります。

もし自分自身や、周りの方が流産や死産を経験したときには、心と身体の回復を支える相談窓口や支援制度があることを思い出し、利用を検討してみてください。

  • #ライフプラン