
葉酸は、おなかの中の赤ちゃんの健やかな発育に深く関わる重要な栄養素として知られています。しかし、「なぜ必要なの?」「どれくらい取ればいいの?」「サプリメントを取る必要はあるの?」と疑問に感じる方もいるかと思います。
この記事では、葉酸が妊娠に大切な理由や摂取の目安について解説します。
葉酸摂取が妊娠前から大切な理由
葉酸は、水溶性ビタミンB群の一種です。細胞が新しく作られる際に必要なDNA合成に関わっており、細胞増殖に欠かせない栄養素として知られています。
妊娠初期は、おなかの中の赤ちゃんの細胞増殖が盛んで、脳や脊髄などの中枢神経系のもととなる神経管が形成される時期にあたります。

この時期に葉酸の摂取が不足すると、赤ちゃんの神経管閉鎖障害の発症リスクが高まることがわかっています。神経管は脳や脊髄へと成長しますが、神経管閉鎖障害は、その神経管がうまく閉じないことで起こる病気です。日本では脊椎(脊髄をつつむ骨)がうまく閉じない二分脊椎という病気が大部分を占めます。本来ならば脊椎の管の中にあるべき脊髄が脊椎の外に出てしまい、さまざまな神経障害を引き起こします。
また、葉酸は赤血球の形成にも関与します。赤血球は酸素を運搬するはたらきを担う血液中の細胞です。不足すると貧血を起こしやすくなり、めまいや息切れ、動悸などの症状が引き起こされます。
葉酸を意識して摂取することでこれらのリスクを低下※させることができます。
葉酸の摂取はいつから必要?
赤ちゃんの神経管は、妊娠のごく初期に形成されます。妊娠後およそ28日は、神経管の形成にとって重要な時期とされています。
そのため、神経管閉鎖障害の発症を予防するためには、妊娠1か月以上前から妊娠3か月にかけて葉酸を十分に摂取することが望ましいとされています。
葉酸の摂取目安量はどれくらい?

妊娠を計画している女性、妊娠の可能性がある女性及び妊娠初期の妊婦は、おなかの中の赤ちゃんの神経管閉鎖障害のリスクを低下させるために、通常の食事からの葉酸摂取に加えて、サプリメントや強化された食品から葉酸を400μg/日摂取することが望まれています。
また、葉酸は、赤血球の形成やDNA合成に関わるため、妊娠前の女性だけでなく、男女とも全ての世代の人にとって必要な栄養素です。「日本人の食事摂取基準2025年版」では、18歳以上の男女の葉酸の推奨量は240μg/日です。
これらはサプリメントなどではなく、通常の食品から摂取する葉酸を対象として設定されています。野菜や柑橘類、大豆など葉酸を含む食品をバランスよく摂取する食生活が大切です。
葉酸を食事から摂取する方法
主食・主菜・副菜を組み合わせた、バランスの取れた食事を基本とし、その上で葉酸を多く含む食品を取り入れていくことが望まれます。
葉酸を多く含む主な食材

葉酸は、ほうれん草やブロッコリー、白菜などの野菜のほか、とうもろこし、えだまめ、さつまいも、いちご、レバーなどに多く含まれています。毎日の食事の中で、これらの食品を無理なく取り入れる工夫をしましょう。
葉酸の摂取における注意点
通常の食品のみを摂取している場合は、過剰摂取による健康障害は報告されていません。しかしサプリメントや強化された食品の葉酸を過剰に摂取した場合には、健康への影響が報告されています。
サプリメントや強化された食品を摂取する場合は1000μg/日を超えないように注意してください。また、神経管閉鎖障害は葉酸不足だけが原因で起こるものではなく、葉酸のサプリメントを摂取しただけで必ず予防できるものではありません。
最後に
葉酸は、おなかの中の赤ちゃんの神経管閉鎖障害発症を予防する観点から、妊娠を計画している女性や妊娠の可能性がある女性、妊娠初期の女性に対して、妊娠前からの摂取が望まれている栄養素です。
お母さんの健康と赤ちゃんの健やかな発育を支えるためには、主食・主菜・副菜をそろえた栄養バランスの取れた食事に加えてサプリメントなどで補助的に葉酸を摂取することが望まれます。
ご自身が妊娠を考えている場合はもちろん、周囲に妊娠を考えている方がいる場合は、妊娠前の葉酸摂取について、ぜひ話題にしてみてください。