多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)とは?生理の不順や不妊の原因

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多嚢胞性卵巣症候群(PCOS:polycystic ovary syndrome)という病気を知っていますか?

「生理の不順がある」、「妊活しているけどなかなか妊娠しない」という方は、もしかするとPCOSかもしれません。

PCOSは「生理の不順」や「不妊」の主要な原因のひとつです。放っておくと、子宮体がんや脂質異常症、2型糖尿病、メタボリックシンドロームなどのリスクが高まり、長期にわたって女性の健康に影響を及ぼす病気です。

生殖年齢女性の5~8%に認められ、月経異常の原因として比較的頻度の高い病気です。

この記事では、PCOSの症状や原因、診断方法、受診の目安などについて解説します。

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多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)とは?

PCOSの原因ははっきりしていませんが、脳や卵巣から分泌されるホルモンのバランスが崩れることによって起こるとされています。

正常な生理において、排卵するときには、卵巣の中にひとつの卵胞(卵子のもと)が大きくなることで排卵が起こります。

しかし、PCOSはホルモンの乱れにより、卵巣の中に未成熟な小さい卵胞がたくさんできてしまい、卵胞が大きくなれず排卵がうまく行われなくなります。

排卵できないと、生理周期が不規則になったり、不妊の原因になったりします。

※正常な生理周期は25~38日間隔です。正常な生理についてはこちらの記事をご参照ください。

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)とは?

また、ホルモンバランスの乱れにより男性ホルモンが増えることで、多毛やニキビなどの症状を伴うこともあります。

さらに、PCOSはメタボリックシンドロームのリスクを高めるほか、耐糖能異常や脂質代謝異常、2型糖尿病、高血圧、心血管系疾患などを合併しやすいことも報告されています。

他にも、女性ホルモンのバランスが崩れ、子宮体がんのリスクが上がるので注意が必要です。

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の診断と治療について

診断について

婦人科では、問診や内診、超音波検査(エコー)などで子宮や卵巣の状態を詳しく調べます。また、血液検査でホルモンのバランスを確認することでPCOSと診断します。

治療について

治療方法は、妊娠の希望の有無などを考慮して、医師と相談して決めていきます。

(1)すぐには妊娠を希望しない場合

子宮体がんのリスクを下げる目的で、ホルモン療法を行い、定期的に生理のような出血(消退出血)を起こさせます。また、肥満がある場合は、食事指導やライフスタイルの改善を指導し、適切な減量を勧めます。

※BMI 25以上の方は、2~6か月で5~10kgの減量を指導します。

(2)妊娠を希望される場合

PCOSの方は排卵障害があるため、排卵誘発剤などの排卵を促す治療を行います。

薬物療法でも改善しない場合は、手術を行う場合もあります。

肥満がある場合は、減量することで排卵誘発の確率を高めることができます。

最後に

PCOSは、若い女性の中で比較的頻度の高い病気です。生理の不順や不妊、多毛やニキビなどの症状を呈すだけでなく、将来の健康にも影響のある病気です。

PCOSを疑う症状を自覚したら、婦人科を受診し相談するようにしましょう。PCOSは、早期に発見すれば適切な治療を受けることができ、将来の健康にもつながります。

「婦人科へ行くのはハードルがある」、「自分は病院に行った方がよいか迷う」方などは、自治体の相談窓口を利用することもできます。

保健師や助産師などの専門職が、心身の状態や健康面の不安について相談を受け付けています。お近くの相談窓口にご相談ください。

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