
「自分だけ太って見える気がする」「SNSで見かけるモデルのような体型になりたい」。そんなふうに、自分の見た目を周りと比べて不安を感じたことはありませんか?
肥満だけでなく、やせすぎも将来の健康に影響することが指摘されています。若い時から極端な食事制限など無理なダイエットを続けていると、骨密度の低下や不妊につながってしまうことも。健やかな毎日やライフプランを実現していくには、今の自分の体格を知り、適正に維持していくことが大切です。
この記事では、やせすぎや肥満によるリスクと、健康を考えるうえでの目安となる「適正な体重」について解説します。
自分の適正な体重を知ろう
BMI(Body Mass Index)は、体重と身長のバランスから体格を客観的に確認できる指標です。数値によって「やせ」「普通体重」「肥満」を知る目安になります。

「適正な体重」※とはBMI(kg/㎡)が18.5以上25未満の範囲のことで、やせと肥満の間にある健康的な体格の目安とされています。
やせ・肥満による健康上のリスク
やせや肥満は、現在の体調だけでなく将来的な健康にも影響する可能性があります。
やせについて

このグラフは、日本人女性の1日あたりのエネルギー摂取量を示したものです。20代女性のエネルギー摂取量の平均値は1995年から2023年にかけて減少しています。また、20~30歳代女性の20.2%が「やせ(BMI18.5(kg/㎡)未満)」となっています。都内女子大学生の体重についての調査では、32%が「やせ」だったという報告もあります。
偏った食生活の場合、鉄欠乏のリスクを高め、 貧血と関連するほか、眠気、疲労感、だるさを感じる人が多いとされています。筋力低下や肌荒れ、毛髪の減少にもつながります。
また、「やせ」は将来の健康に大きな影響を及ぼす可能性があります。そのひとつが骨密度の問題です。

このグラフは、人の一生における骨密度の変化を示しています。人の骨密度は15~18歳頃に最も高いピークボーンマスを迎えます。ピークボーンマスが高いほど、加齢により骨密度が減っても、骨がもろくなる骨粗しょう症になりにくくなります。もし小児期から思春期にかけて「やせ」の状態で栄養を十分に摂取できていないと、ピークボーンマスが低くなってしまい、将来の骨折などのリスクが高くなる可能性があります。
さらに、「やせ」は女性ホルモンが乱れて生理の異常のリスクが増加します。そのため、女性ホルモンの分泌が少ない状態が続くことで将来の不妊症のリスクが高くなると報告されています。
肥満について
下のグラフは、男女の肥満 者の割合を示しています。

年齢を重ね、肥満の程度が強くなるにつれて、いわゆる生活習慣病である2型糖尿病、高血圧、脂質異常症、脂肪肝などを発症しやすくなります。なお、成人からの肥満に比べ、小児・思春期の肥満は、肥満の状態である期間が長いため、より重症化しやすくなります。
また、小児・思春期の肥満の健康への影響は、生活習慣病だけではありません。小児期は、その人の基本的な生活習慣が形成される時期でもあります。
肥満者は、運動量が少ないため、結果的に筋肉量の減少、さらに基礎代謝の減少につながることが多くみられます。小児期に運動量が少ないということは、運動経験が少ないということでもあり、運動能力の不獲得にもつながります。また、肥満小児は、骨密度が低いことが少なくありません。これは、運動不足の影響と考えられます。
やせ・肥満の妊娠・出産への影響について
やせ・肥満は不妊との関連があると報告されています。
女性の場合、妊娠をするには排卵のある生理があることが重要になりますが、「やせ」や肥満の女性は、女性ホルモンのバランスが崩れ、排卵に影響を与える場合があります。長期間ホルモンバランスが崩れた状態が続くと、将来的に不妊のリスクが高くなります。
男性の場合、肥満であると、男性ホルモンが低下し、性機能や精子の質・量が低下して不妊のリスクが高くなります。
また、妊娠・出産においてお母さんの「やせ」は、生まれてくる赤ちゃんの健康に関係します。妊娠前や妊娠中にやせている場合、胎児に必要な栄養が十分に供給されず、低出生体重児のリスクが高まります。
妊娠中の母体の栄養状態は、出生児の健康状態やその後の発育だけでなく、将来的な生活習慣病発症リスクに影響を与える可能性があることも研究で示されています。さらに、早産のリスクが高まることも指摘されています。
お母さんの肥満は、BMIが高くなるほど、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病、帝王切開率の上昇などのリスクが高くなると言われています。
安全な妊娠・出産のためにも適正な体重を維持することが重要です。
適正な体重維持をしていくためのポイント

適正な体重維持をするためには、日々の食事と運動の習慣を整えることがポイントです。まずは自分の体格を確認したうえで、無理のない範囲で取り組んでいきましょう。
食生活を見直す
適正な体重を目指すためには、「食事バランスガイド」などを参考に、1食の中で「主食」「主菜」「副菜」の組合せを意識し、バランスよく栄養素を取り入れることが大切です。
やせの場合は、必要なエネルギーと栄養素を摂取できるよう、1日3食を基本に、主食・主菜・副菜を組み合わせて、規則正しく食べることを意識しましょう。
一方で、肥満の場合は、減量を達成しようと摂取エネルギーの過剰な制限や、特定の食品のみを摂取又は制限をして栄養の偏りが生じたりしないよう、 バランスのよい食事を心がけることがポイントです。
参考:食事バランスガイド
適度な運動を続ける
適正な体重を目指すうえでは、日常生活の中で適度な運動を続けることも大切です。
厚生労働省では、成人の場合、
- 歩行などの身体活動を1日60分以上
- 息がはずみ汗をかく程度以上の運動を週60分以上
- 週2~3日の筋力トレーニング
を取り入れることを推奨しています。
まずは今よりも「+10分」身体を動かすことを意識して、無理のない範囲からはじめてみましょう。普段より少し多く歩くなど、できることから取り入れることがポイントです。
やせの場合は、筋肉量や筋力、骨密度が低下しやすいため、栄養バランスの整った食事とあわせて、身体を動かすことが大切です。一方、肥満の場合はエネルギー消費量を増やすことが重要です。ウォーキングなどの有酸素運動を中心に、継続しやすい運動を取り入れるようにしましょう。
最後に
見た目にとらわれるのではなく、いまの自分の状態を客観的に知ることは、健康的な身体を保つうえで大切です。
将来の健康や、出産を含めたライフプランを考える際に、早い段階から自分の身体と向き合い、健康管理をはじめてみましょう。