生理中の腹痛の原因は月経困難症かも?

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生理中に「お腹が痛い」「腰が重い」「気持ちが悪い」「頭痛がする」と悩んでいませんか。

なかには、学校や仕事を休むぐらいつらいのに、市販薬などでしのいでいる方もいるかと思います。

内閣府の調査※では、女性の73%が生理痛により生活への支障を感じており、70%は生理中にだるさ、下痢、立ちくらみなどの体調不良で生活への支障を感じているという調査結果があります。

※ここ1年の間の月経状況について、「定期的に月経がある」、「定期的ではないが月経はある」、「妊娠中又は出産後のため月経がとまっている」、「低用量ピル等で月経をコントロールしている」と答えた人が対象。

この痛みや体調の変化によって日常生活に支障をきたす場合を「月経困難症(げっけいこんなんしょう)」と言います。

「ひとつ前の記事の『PMS(月経前症候群)』と何が違うの?」と思う方もいるかもしれません。

月経困難症とPMSの最も大きな違いは、症状があらわれる時期です。

月経困難症は生理中に症状がでてきます。一方、PMSは生理中ではなく、生理前に症状があらわれます。さらに、症状や原因にも違いがあります。

この記事では、月経困難症の原因や症状、受診の目安、治療方法などを解説します。

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月経困難症とは?

「月経困難症」は、生理中の「お腹の痛み」に代表されるさまざまな症状により日常生活に支障をきたす状態です。

約50%の日本人女性が、「肩や首がこる」、「頭が痛い」、「下腹部が痛い」、「疲れやすい」、「体が痛い」という症状を月経困難症として訴えているという調査結果もあります。つらさの程度はさまざまですが、多くの女性が月経困難症に悩まされています。

月経困難症の主な症状

では実際に、どのような症状があるのでしょうか。

月経困難症では、主に以下のような症状が生理期間中にあらわれます。

月経困難症の主な症状

これらの症状は生理の始まりとともに強くなり、生理が終わる前、もしくは終わりとともにおさまるのが一般的です。

つらい症状があるときは、無理せず早めに婦人科を受診しましょう。

月経困難症は2つのタイプがある

月経困難症には、特に原因となる病気がない「機能性月経困難症」と、痛みの原因となる病気がある「器質性月経困難症」があります。

月経困難症のタイプと特徴

機能性月経困難症

機能性月経困難症は「プロスタグランジン」という痛みに関する物質が過剰につくられることが主な原因です。プロスタグランジンにより、子宮が強く収縮し、痛みの原因となります。

器質性月経困難症

器質性月経困難症は、子宮や卵巣などの病気が原因となります。器質性の場合は、病気が進行することがあるので、年齢が上がるにつれて症状が強くなったり、重症になると、月経以外の時期にも痛みが生じることがあります。

代表的な病気は以下です。

器質性月経困難症を引き起こす主な病気

子宮内膜症 / 子宮腺筋症

子宮の内膜に似た組織が、何らかの理由で卵巣などの子宮以外の場所に入り込み、成長してしまう病気が子宮内膜症です。子宮腺筋症は、それらが子宮の筋肉に入り込む病気です。

子宮筋腫

子宮の筋肉にできる良性の腫瘍を子宮筋腫といいます。子宮筋腫ができた場所によっても症状に違いがあります。

婦人科では、月経困難症の原因を調べるために、問診や内診、超音波検査(エコー)などで子宮や卵巣の状態を詳しく調べます。必要に応じて血液検査やMRI検査などを行う場合もあります。

月経困難症の受診の目安

どのような症状があれば受診するべきなのか、わからない方も多いかと思います。

以下に該当する場合は、一人で悩まず、婦人科の受診を検討してください。

月経困難症の受診の目安

月経困難症の治療

病院に行くことをためらってしまう方も多いと思いますが、適切な方法で対処すれば、月経困難症の症状を軽減できます。

月経困難症の治療は、症状の程度や年齢、妊娠の希望の有無などによって治療方法が異なります。

鎮痛薬(非ステロイド性抗炎症薬)

いわゆる「痛み止め」です。鎮痛薬(非ステロイド性抗炎症薬)により、痛みの原因となるプロスタグランジンの生成を抑えます。鎮痛薬を飲む回数が増えてきたり、効果をあまり感じられないようになったら、さらなる治療を検討する必要があります。

ホルモン製剤

低用量ピルやプロゲスチン製剤などを用いたホルモン療法もあります。ホルモン分泌を調整して、月経量や痛みの軽減、子宮内膜症などの病状進行の予防につながることも期待されます。

漢方

漢方薬で、月経困難症の症状を緩和できることがあります。

手術

子宮内膜症や子宮筋腫などの器質性月経困難症の場合、原因となっている病気の治療が必要となることがあります。年齢や妊娠の希望の有無などに合わせて適切な手術方法が選ばれます。手術になったとしても、お腹の傷を小さくし、手術後の痛みなどの負担に配慮した腹腔鏡下手術があります。また、将来の妊娠のために、子宮や卵巣を温存する手術もあります。

医師と相談しながら、自分に合った治療法を見つけていくことが大切です。

最後に

生理に関する悩みは誰かに相談しにくいものです。

しかし、我慢を続けることで、症状が悪化したり、病状が進行してしまうリスクがあるのも事実です。

月経困難症は適切に治療すれば、症状を改善することができます。痛みがあるときは婦人科に相談し、自分の身体を守ることが大切です。

また、「婦人科へ行くのはハードルがある」、「自分は病院に行った方がよいか迷う」方などは、自治体の相談窓口を利用することもできます。

保健師や助産師などの専門職が、心身の状態や健康面の不安について相談を受け付けています。お近くの相談窓口にご相談ください。

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